こだわりの前面展望映像
私は、パシナ倶楽部の代表を務めます鳥塚亮(とりづかあきら)です。
まずは、パシナ倶楽部の簡単なご紹介をさせていただきます。
パシナ倶楽部は鉄道ファンが作る鉄道ファンのための映像作品シリーズの中でも前面展望映像に特化した鉄道ビデオメーカーとして1992年の発足以来、28年にわたる継続的な作品作りを続けております。
発足以来28年間にお届けした作品数も既に650タイトルを数え、前面展望映像での実際の乗車距離も60,000 kmに届く、名実ともに日本一の鉄道ビデオメーカーとして、鉄道ファンの皆さまから絶大な支持をいただいております。
そんな鉄道好きの私ですが、不思議なご縁をいただきまして2009年から2018年まで千葉県にあるいすみ鉄道にて社長を務めさせていただきました。
いすみ鉄道は房総半島の山間部のいすみ市から大多喜町にかけて走る全長26.8kmの小さな鉄道で、東京から日帰り圏内にありながら、沿線には今でも里山や渓谷などが点在し、懐かしい昭和の日本のふるさとの風景の中を走る路線です。この地の利を生かし、ローカル鉄道があれば沿線地域を全国区にすることができるという信念の下、ムーミン列車や国鉄形のキハ52、キハなどを導入し、特産品のイセエビを使用したレストラン列車を運転するなどにより、いすみ鉄道を全国有数の観光路線にすることができました。
2019年からは新潟県のえちごトキめき鉄道で再び社長職に就かせていただきまして、沿線のすばらしさをご紹介しながら、ローカル鉄道の存続に取り組んでいるところでございます。
すいません、前置きが長くなりましたが、パシナ倶楽部映像作品の制作基本ポリシーについてお伝えをさせていただきたいと思います。
パシナ倶楽部映像作品の制作基本ポリシー
「何も足さない、何も引かない」
パシナ倶楽部の作品はこだわりの前面展望映像集です。
特に次の5つの点には一貫してこだわった作品化をしています。
1:走行中はノーカットであること。
列車を実際の走行時間で記録すること。列車時刻は時代を反映する記録です。
かつて鉄道の歴史はスピードアップの歴史といわれていました。目的地へ少しでも早く到達するため、車両や線路の改良が行われ、その度にダイヤ改正がありました。そして、速度の遅い古い車両は過去のものとなり、時にはルートや輸送体系そのものが変わっていきました。
パシナ作品では、列車を実際の走行時間で記録することにより、その時代の輸送をドキュメンタリーとして記録しています。ここが一般の娯楽作品とは異なるパシナのポリシーの現れです。
2:不要な区間などありません
そこに駅があれば、その駅をふるさとに思う人がいます。その風景をふるさととする人がいます。そう考えると、何の変哲もない田舎の風景も、「不要」としてカットすることなどできません。今は無人駅になっていますが、国鉄時代には貨物列車の取り扱いなどで賑わった歴史がある駅がたくさんあります。そういう駅を、観光地として有名ではないからといって、映像からカットしたりすることをパシナ作品は好みません。風光明美な観光路線や景勝地のみをピックアップした作品をご希望される方には、残念ながらパシナ作品はお勧めできないと思います。
3:脚色はしない。
パシナ作品では特別な編集など一切していません。
「景勝地ではカメラを横に向けた景色を見たい」
「運転席のメーター類を映しこんでほしい」
などといったご要望をいただく場合があります。
しかし、パシナ作品では一貫して前面展望にこだわり、特別な編集などはしておりません。
あくまでも列車の走行を素材としてご提供するのがパシナ作品です。右を見たり左を見たりはできませんが、どうしても気になる方は、「百聞は一見に如かず」の精神で、実際にご自身でお出かけになり、列車にご乗車されることをお勧めいたします。パシナ作品はそのためのお手伝いをさせていただければと考えております。
(一部のDVD作品ではマルチアングル機能を活用し、同時進行でサブカメラの映像をご覧いただける作品があります。)
4:必要最低限の解説。
走行中の画面には基本的には駅名のみスーパー(テロップ)で表示します。一部の長大トンネルを除き、トンネル名や国道、鉄橋名などは表示しておりません。パシナ倶楽部の初期作品(1995年ごろまで)では駅名表示すら不要と考えていました。これは発足当初の会員様はかなり密度の濃い鉄分を補給される方々が多かったためで、当時は画面に余計な表示を出すと、クレームされたりすることもありました。その後、鉄道ブームが到来し、パシナ倶楽部のお客様も多様化され、一般的なお客様もご覧になられるようになったこと、また、駅名の変更などが各所で行われ、駅名そのものも記録する必要性が生じたことから、現在では基本的には駅名のみを画面表示しています。
(旧作品には駅名表示のないもの、主要駅のみのものがあります。)
5:素材を提供する。
列車というものはA地点からB地点まで、安全で正確に走るだけの公共輸送手段です。汽車旅など、趣味で列車に乗られる皆さんは、この「素材」としての列車に、ご自身で楽しみを付け加えることができる幸せな人たちだと思います。「心地よいレールの響き」「駅弁旅行の醍醐味」など、素材である列車を利用して、そこに自分なりの楽しみを見つけること、つまり付加価値を付けることで、文明の利器としての鉄道が文化に変わります。パシナ倶楽部の前面展望作品も、実際の列車と同様に皆さまに「素材」をお届けいたします。ご覧いただく皆さまがそれぞれの方法でご自分なりの映像の旅をお楽しみいただくこと、これがパシナ作品の楽しみ方です。
世の中にはいろいろの考えのお客様がいらっしゃいます。
パシナ倶楽部ではすべてのお客様にご満足いただくことは不可能であると思っています。
また、幅広いお客様にご納得いただけるような八方美人的な映像をご提供することはポリシーに反する場合がございます。
パシナ作品はあくまでも皆さまに「素材」をお届けいたします。
パシナがお届けする「素材」をご自身の中で消化して、付加価値を付けてご覧いただくことが、正しいパシナ作品の鑑賞方法です。
どうぞ皆さま、パシナ倶楽部の前面展望映像作品で、ご自宅に居ながら日本全国の鉄道の旅をごゆっくりとお楽しみください。
そして気になる路線に出会ったら、次のお休みにでも、ぜひお出かけになられて、実際にご乗車体験されることをお勧めいたします。
代表
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